Bremen
召喚呪文の詠唱を終えたヒドゥムが、自身の足元に生じた黒い円状の染みの中に飲み込まれて行く。
染みは次第に拡散、直径数十メートルにまで広がると、まるで黒い沼の中から這い出るように巨大な者が姿を現し始めた!
「禍嗚主が出現する!
スネア、こっちも鳴流神を召喚するぞ!」
「おう!」
バードは白い羽根を、スネアは銀色のドラムスティックを手に持ち、それぞれトオンの紋章を描く。
「汝、弦楽震ストレグン!!」
「汝、打楽荒パーカスト!!」
口早に召喚呪文が唱えられ、天空から黄金と白銀の鳴流神が舞い降りる!
『『鳴流神、奏臨!!』』
二体の鳴流神の出現と同時に、ヒドゥムが喚び出した禍嗚主も完全に姿を現した。
召喚された禍嗚主は、鳴流神と違い楽器の姿をしていない。
ヒドゥムの姿をそのまま巨大化させたような、禍々しい姿の巨神だった。
ヒドゥムとの違いは、竜のように長い首と蛇の頭が先端にある尾、それにヒドゥムには無かった猛禽類の翼がの4枚。
正真正銘、黒い異形の怪物だ!
『影喰王クルォワッハ……
召怨!!』