Bremen
 
『まさに怪物だな……』

『ああ。
禍嗚主とは、歪んだ精神を具現化した邪神だ。
本来は無形だが、召喚者の姿や能力を受け継いで身体を作り出す。
………召喚した後、元の姿に戻れるかどうかまでは知らんがな』


クルォワッハが先手を取る!
巨体に関わらず素早い動きを見せ、鳴流神を翻弄した。
特にパワーと防御に優れる反面、スピードが鈍いパーカストはクルォワッハの動きに着いて行けず、攻撃に転じることができない。


『クカカカカ……
まずは、そちらのノロマを始末するか』

クルォワッハが手を翳すと、パーカストの影から無数の黒い手が伸びてきた!

『影が作り出す底無し沼に沈むがいい』

黒い手が一斉にパーカストに掴み掛かり、影の中に引きずり込み始めた!

『なっ……!?
しまった!
身体が……し、沈む!!』


『スネア!』

既に膝まで影の中に沈んでしまったパーカストに向けて、ストレグンはバイオリン形態時の糸巻き部から弦を飛ばす。
弦がパーカストの腕に絡み付いたのを見届けると、ストレグンは弦を引いてパーカストを引き上げようとした。

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