Bremen
『バード、今だ!!』
パーカストの合図に、タイミング良く跳び上がるストレグン。
意表を突かれたクルォワッハの鉤爪は見事に空振りした。
『待ってたぜ!
お前が油断して近付いてくるのをな!』
跳び上がった弾みで弛んだ弦を捻って輪を作り、着地と同時にクルォワッハの首に輪を通すストレグン。
『な……んだとっ!?』
『さあ……
影の術を解かなければ、パーカストの重さで首が切り落とされるぜ?』
まさに大ピンチからの大逆転!
クルォワッハは突然の出来事に一瞬何が起こったのか分からない様子だったが、自分が追い込まれているという現状を把握するまでに大して時間は掛からなかった。
『シジマ、どうする?
先に言っておくが、その弦を切ろうとしても無駄だぜ?
鳴流神の弦は、そう簡単に切れる代物じゃない』
『グエエッ……!
く、くそおっ!!
……い、今一本のところで!』
クルォワッハが再びパーカストの足元に向けて手を翳すと、底無し沼と化していた影はただの影に戻った。
パーカストの下半身は地面に埋まったままだったが、クルォワッハの首を絞める力は弱まった。