Bremen
すかさず弦の輪から抜け出し、空中へと逃げるクルォワッハ。
『鳴流神、そして奏者ども!
この屈辱は一生忘れんぞ!!
次こそは……
次こそは必ず貴様らを残らず八つ裂きにしてやる!!』
逃げ口上を吐き捨てて、一目散に飛び去るクルォワッハ。
戦いを終え、ストレグンとパーカストも光となって天へ昇って行った。
「四門将ヒドゥム、そして禍嗚主クルォワッハ、か……
恐ろしい敵だった……
またいずれ、奴とは戦うことになるな」
「ああ。
あれが俺達の敵だ。
今の戦いで感じた通り、まだまだ俺達は戦力不足だ。
一刻も早く次の奏者を探し出し、シジマの侵攻を食い止めなければならない」
バードの言葉に、スネアは奏者の使命の重さと敵の強大さを、改めて感じずにはいられなかった。
たった一体の禍嗚主に二体の鳴流神で挑み、苦戦の末に偶然の勝利。
『勝った』と言うには、あまりにもお粗末な結果だった。
「……行くぞ、スネア」
バードも自分の不甲斐無さが許せなかった。
シジマを取り逃がしてしまった自分を。
怒りに震える拳をマントの中に隠し、クルォワッハが飛び去った空を睨む。
「俺の親の仇、シジマ……
次は必ず………殺す!!」