Bremen
『我が友ストレグンよ……
俺に力を貸してくれ!
魔奏力………
アンダンテイション!!』
ズ………
ゴゴゴゥ……!!
プールが振動し始め、少しずつ動き始めた。
やがてストレグンの掌を離れたプールは、空中へと浮遊を開始する。
腕力で持ち上げられない程の重量の物体を念の力で動かす『アンダンテイション』は、基本中の基本とされる魔奏力だ。
(今後のシジマとの戦い、この力が戦局を左右することになるだろう。
魔奏力を操るのは苦手だが、この前の禍嗚主との戦いで苦戦した以上は贅沢を言っていられないな。
もう一度、基本から始める!)
………それから3日後。スネアはハイハットの技術者達の力を総動員し、プールを母体とした船を完成させた。
外装は白一色で統一。
動力は楽機と同じく永久機関を使用、長い航海に備えて居住性を重視した作りに仕上がった。
「流石だ、スネア。
しかし船が出来上がったのは良いが、こいつを海まで運ぶのは一苦労だな。
この3日間、魔奏力を基礎から学び直したが、念動力だけで海まで持って行くのは厳しいぜ……」