Bremen
バードの呟きを耳にしたスネアがニヤリと笑う。
「バード、俺が『ただの船』を造ると思ったか?
心配無用だ」
そう言ってスネアは船に乗り込んで操作を始める。
「おいおい、まだ陸地にあるのに操縦なんて始め………!?
まさか、スネア!」
「そう、その『まさか』だ。
走行モードに移行する!
モビィディック、起動!!」
ズゴゴオオオッ!!
船の底面が持ち上がり、地を揺るがす轟音とともにキャタピラが出現!
バードは目の前で起こった出来事に興奮を隠し切れなかった。
「ふ、ふふ……
分かってるじゃないか。
男子のロマンって奴をさ!」
甲板の上に出て来たスネアは、バードに向けて親指を立ててニッと笑う。
「だろ?
お前なら必ず、この『モビィディック』を気に入ってくれると思ったぜ。
夢を形にする快感……
それを知ってしまったから、俺は技術者を辞められないのさ!」
モビィディック……
海の皇帝と呼ばれ恐れられる、伝説の白鯨。
まさにその名を受け継ぐに相応しい船だ!
「さあ、出航だ!
モビィディック、大海原がお前を待ってるぜ!!」