Bremen
………一方、モビィディック。
しばらくスネアは黙って腕を組んだまま、バードの勝手過ぎる行動を振り返っていた。
「スネア〜。
バードを助けないのニャ?」
眉間に皺を寄せて目を閉じたままのスネアの顔を、不安そうに覗き込むソナ。
(………どうする?
バードの行動は明らかに俺達の輪を乱している。
しかし奴が今、ピンチならば助けない訳にはいかない。
………だが、問題は手段だ。
空からの敵だったなら、飛行できないパーカストでは逆に足手まといになってしまう………)
「ねぇ〜、スネアってばぁ〜」
ソナはスネアが寝ていると思って身体を揺すり始めた。
段々と苛々が募るスネア。
「………だぁ〜っ!
今助ける方法を考えてる最中だっつうの!
集中できないだろが!
……くそ、行きゃあ良いんでしょうが、行きゃあ。
モビィディック、発進!」
白鯨は黒い海を進み始めた。
「さて、バードはどの辺りだ?
目視で確認するしかないからな、雲の中に居ないことを願うぜ」
スネアとソナは二人掛かりで空を捜すが、ストレグンの姿や戦闘の様子は確認できなかった。