Bremen
 
「……となれば、海中か。
恐らく今回の禍嗚主は水棲生物の能力を持っているな。
ならば!」

スネアは舵輪の付け根にあるレバーを、ガギンガギンと重々しく操作した。

「モビィディック、潜航モードに移行!」


ブヲオオオオオンムッ!!


海の皇帝の、天をも揺るがす咆哮が黒海を震わせた!
モビィディックは脅えた海面を蹴散らすように、潜航を開始した。

「ソナ!」

「何ニャ?」

「違う、お前じゃない。
ソ・ナ・ー。
海中の物体を感知するためのセンサーだ。
見てみろ」


スネアが指す計器は他の計器と違い、特殊な表示がされていた。
円形画面の中央に光点があり、そこから波紋状ね光輪が定期的に拡散している。

「こいつは超音波を放射して、その跳ね返りを感知することで船の周囲にある物体を検出することができる。
俺が昔、試験的に作ったものだから範囲は狭いけどな」

「う〜ん……
スネアの話は難しくて、何を言ってるのかサッパリ分からないニャ」

「……この点が今、俺達が居る場所なの!
で、この点が………?
反応が2つ、動いてる!
ストレグンと禍嗚主か!?」

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