Bremen
「………ード!
おい、バード!!
しっかりしろ!」
モビィディックの甲板。
さっきまでの黒雲は何処へ行ったのだろう。
まばゆい光の中、スネアの呼び声にバードが目を覚ます。
「う………」
寝覚めの瞳を襲う強烈な陽射しに一瞬目を眩ませるが、すぐに我に返り辺りを見回すバード。
「………そうか……」
状況を見て、どうなったのかを瞬時にバードは把握した。
バキッ!!
突然スネアがバードを殴る。
一度起こした上体は、再び甲板に倒された。
「理解したなら、何故自分が殴られたのかも分かってるな?」
「…………」
「お前にとって、シジマは両親の仇だったのか。
譫言で言ってたよ」
「…………」
「でもな。
いくらシジマが憎かろうと、リーダーが感情で暴走してどうする?」
「……リーダー?」
「お前は自覚が無いかも知れないけどな、俺もソナもバードをリーダーだと思ってる。
それだけは忘れるな」
「…………分かったよ。
また次に俺が暴走したら、半殺しにしてでも止めてくれ」
「それはリーダーとしての命令なのか?」
「いや………
仲間としての頼みだ」