Bremen
そこまで話した後、倒れたままのバードとスネアは暫く無言だったが、
「教えてくれ」
言いながらスネアはバードに手を差し延べた。
「俺にも魔奏力の使い方を教えてくれ。
まだジョウルリに到着するまで数日は掛かる。
それまでには、基礎的な魔奏力ぐらい使えるようにしてみせるさ!」
「フ………
俺の授業は厳しいぞ?」
バードがスネアの手を掴む。
スネアは腕を引き上げ、バードを起こしながら言った。
「覚悟の上さ」
その日から、バードとスネアの修行は休み無く続いた。
魔奏力は鳴流神を通して初めて使用できる力だが、その力の源泉となる奏者の精神力を高める修行は鳴流神を召喚しなくても可能だ。
修行は瞑想による精神統一から始まり、集中力・忍耐力を養うことで奏者自身が秘めたる魔奏力を引き出す鍵とする。
バードも自分の感情を制御するため、スネアと共に同じメニューの鍛練を行った。
そして5日が経過した朝。
船首に近い甲板で、双眼鏡を覗くソナ。
その後ろからバードが近付いて声を掛けた。
「ソナ、見えるか?」
「う〜〜……ニャ?
見えたニャ!!
島が見えたニャ!!」