Bremen
ソナの目に映ったのは、紛れも無く東の国・ジョウルリの国土だった。
バードも自分の目でそれを確認、操舵室に降りてスネアに指示を出す。
「スネア。
もう少し近付いたら、モビィディックを潜航モードにしてくれ。
いきなりモビィディックで上陸したら、恐らくジョウルリは俺達を敵と見做して攻撃してくる」
「攻撃?
よそ者に対して問答無用で攻撃してくるほど、ジョウルリってのは野蛮な国なのか?」
「色々と事情があるのさ。
あの国にはな………」
バードはスネアにジョウルリの内情を語る。
大陸そのものが国家として成立しているジョウルリ。
カンツォーネも同様の国だが、決定的な相違点は統制力にある。
国としては無法地帯に近いカンツォーネに対し、ジョウルリは君主による王政が敷かれており、国土の隅々にまで治安は行き届いている。
「君主は代々、その子供が受け継いでゆく。
現在の君主は若い娘だ。
つまり『姫』だな」
しかし、若い姫によって国が支配されるのを不服とした一部の臣下達がクーデターを起こした。
それによってジョウルリでは内紛が起こり、国土は東西に分断されてしまった。