Bremen
 
『抑えなさいな』

ウズメの声は少し呆れたように笑っていた。
それを感じたデヴァーシャは、少し恥ずかしそうに咳払いのような動きをする。

『ワオン、奏者達を虹の橋立へ案内して下さい。
話を伺いましょう』


『……そういうことだ。バード、鳴流神を帰せ。
お前達をデヴァーシャで虹の橋立まで運んでやる』

『嫌だ……と言いたいが、今は従うのが賢明のようだな』

バードの意思を受け、ストレグンは光の粒子と化して天に帰る。
デヴァーシャを見上げながら、両腕を広げて丸腰をアピールするバード。


「さあ……
見ての通りだ。
俺はストレグンを帰したが、お前はまだ鳴流神と共にある。
今なら鳴流神で俺を踏み潰すこともできるな。
どうするんだ?」

『私は武士だ。
武士に二言は無い。
黒武衆、下がれ!』

デヴァーシャの合図により、スネアとソナを取り囲んでいた黒武者達が一斉に散り散りに去る。
残された二人の元に駆け寄るバード。


「スネア、ソナ。
怪我は無いか?」

「ふにゃ〜……
恐かったニャ〜」

「バード、お前こそ大丈夫だったか?」

無事を確認しあうバード達に向けて、多少苛立ったように手を差し出すデヴァーシャ。


『愚図愚図するな。
デヴァーシャの掌に乗れ!』

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