Bremen
「油断させておいて、俺達を握り潰したりしないだろうな?」
スネアはデヴァーシャを警戒し、なかなか掌に乗ろうとしない。
「大丈夫だ。
こいつは忠義に厚い。
姫からの命令とあらば、命を賭してでも成し遂げようとする。
少なくとも姫の元へ送り届けるまで、俺達は無事だろう」
仲間の不安を取り除くため、先にデヴァーシャの掌に乗るバード。
スネアとソナも、それに続く。
『私は貴様らを虹の橋立まで送れと命令されただけだ。
速さは命令されていないが、姫の命とあらば最高速で飛ぶ。
振り落とされるのは貴様らの勝手だ』
そう言うなりデヴァーシャは空に舞い上がり、凄まじい速度で飛行を開始した!
振り落とされるのは勝手と言いつつも、バード達を握り潰さない程度に指を曲げてガードしている。
「ワオン、お前は奏者の使命を知りつつ鳴流神を使役しているのか?」
強風の中、帽子が飛ばされないように押さえながら、バードはデヴァーシャに問う。
『………喋るな。
振動で舌を噛むぞ。
私の掌中で、人が惨たらしく息絶えるのは御免被る。
ましてやそれが……
知人なら尚更だ』