Bremen
「あら、まぁ。
随分と食べっぷりの良い娘さんですね。
その元気の良さが羨ましいですわ」
鳴流神同士の戦いの最中、天から響いて来た姫の声だ。
一同の視線が、一斉に部屋の入口に向けられる。
白無垢のような真っ白で丈の長い着物を引き擦り、それと対照的に長い黒髪を腰まで伸ばした美しい娘の姿がそこにあった。
金の髪飾りを揺らしながら微笑んでいる娘の脇には、あの赤糸縅の鎧武者・ワオンも居る。
「ウズメ……」
バードが娘の前に歩み出ようとすると、ワオンがその先に立ち道を遮った。
「ジョウルリ君主・ウズメ姫の御前である。
控えろ、下郎!」
ワオンの高圧的な態度をバードは嘲笑った。
「無礼はお互い様だろ。
ワオン、客人の前では兜を取るのが礼儀だ。
近衛隊長たる者が、模範行動を欠いてどうする?」
「うぬぅ…………」
売り言葉に買い言葉。
バードに礼節を指摘され、何も言い返せなくなるワオン。
「ワオン。
兜を脱いで皆様に挨拶なさい」
姫に諭され、ワオンは渋々と兜の緒を緩める。
「これで文句無かろう」
兜を脱いだワオンの顔を見て、スネアは驚嘆の声を上げた。
「お、お前……
女だったのか!!?」