Bremen
「おい、バード………」
「貴様、姫に向かって何という……!」
バードの態度にスネアは胆を冷やし、ワオンは激昂する。
しかしあながちバードの言うことも間違いでは無いのだ。
世界を大局と見れば、ジョウルリの国内事情など小さなもの。
反乱だの革命だのよりも、無音世界を創造しようとしているシジマの方がよほど恐ろしい敵だし、それと戦うための奏者の宿命の方がよほど重要だ。
「……………が、そんなことは聡明な姫なら分かりきっているはずだ。
反乱軍に一枚噛んでいるのは、恐らくシジマ。
だから奏者である俺達の力が必要なのだろう?」
ジョウルリに向かう最中にバードが述べた推測。
無言で重々しく頷くウズメ。
「相手がシジマ……
尚且つ四門将が率いる反乱軍では、このジョウルリの戦力では太刀打ちできません。
バード………
貴方達の力を貸してください」
「………良いだろう。
しかし、もう少し情報が欲しいところだな。
まず敵側に居る奏者……
ファーゴと言ったか。
そいつが何故シジマに協力しているか、探る必要がある。
奏者である以上、最終的には仲間に迎え入れなければならないからな」