Bremen
 
「敵である者を、そう簡単に寝返らせられるものか!
それに奴の銃弾に、多くの同志が倒れていった……
仲間に引き入れられたとしても、私は………」

様々な思いに複雑な表情を見せるワオン。


「奏者は誰一人欠けてはならない。
そのファーゴも然り、だ。
………だがワオン、お前の気持ちも分かる」

「……………」

ワオンとのやり取りを横で聞きながら、スネアはバードの言葉の意味を汲み取っていた。

(憎悪か………
片やシジマに、片や同志であるはずの奏者に。
仇敵であるシジマを憎むバードは、対象を討ち滅ぼすことで仇討ちを果たせるだろう。
しかしワオンは………)


そのスネアの思案を見抜いたのか、ウズメが語り出した。

「ワオン。
貴女の憎しみ、怒り。
それら感情を捨て去れとは言いません。
しかし同じ宿命を持った者同士なら……
互いに傷付け合う前に、まず話をしてみるべきでしょう。
相手の信頼を得るには、こちらが相手を信頼することから始めなければなりません」


「ウズメ、ファーゴという奴への探りは俺が引き受ける。
ワオンは外す」

ワオンを諭すウズメの言葉を遮り、バードはきっぱりと言い放った。

< 96 / 107 >

この作品をシェア

pagetop