Bremen
虹の橋立、中腹。
そこにある小さなテラス。
満天の星空の下。
先に謁見の間を出たバードは、夜風に当たりながらそこで佇んでいた。
「………来たか」
背後に人の気配を感じ、呟く。
そこにはウズメが立っていた。
「ワオンには相変わらず厳しく接するのですね」
「可愛い弟子ほど甘やかしたくないものさ。
人の上に立つ立場になったのなら、尚更な」
「それなら私は?
今や一国の主。
少なくとも、ワオンより多くの人々の支えの上に立っています」
「お前は望んで今の地位に就いた訳では無いだろう。
むしろ同情する。
君主の娘に生まれてしまった、ただそれだけの理由で国を治めなければならなくなった。
普通の家柄に生まれていれば……そう考えたことは無いか?」
バードの問い掛けに、ウズメは静かに微笑んで答えた。
「私は自分の生まれを呪ったことはありませんよ。
むしろ感謝しています。
もし普通の家柄に生まれていたら貴方やワオン、それにスネアさんやソナさんとも出会えませんでしたから」
バードもウズメの答えを聞き、フッと笑う。
「相変わらず、前向きな奴だ」