KING CASTLE

来た道を…引き返していく?

「ちょ!伊吹!?」

「うっせーな、なんだよ」

目を丸くして大きな声をだすと、眉間に深い皺を寄せて振り返った。


「あ、あんた…家こっちの方面なんでしょ!?」

「阿呆か。栄(サカエ)の近くにあるっつーの」

ここは名古屋のはずれ。
田舎じゃないけど、都会なわけじゃない。

名古屋の中区、栄っていえば、こっちとは反対方向なわけで。

学校をでる時点で違うわけで。


「…てめぇの所為で遠回りだ」

「じゃ、じゃっじゃあなんでこっち方面なんて言ったのさ!」

どもってしまうのなんて気にしてられない。
びっくりして伊吹に聞けば、少し溜息をはいた。

「どれだけ色気がなくても、どれだけ馬鹿で役立たずでも」

……。

「一生徒会役員に何かあったら、俺の責任になんだよボケ」

…ああそうですか。

実はあたしを心配してたとかいう返事が返ってきてもいいところじゃないか?

少女漫画なら確実にそっち行く路線なのに。


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