KING CASTLE
別に伊吹に心配されようとか、微塵にも思ってないからいんだけどさー。
「で。そんだけか?なら帰るけど」
「あぁ、そんだけだよ」
溜息を零しながら言うと、伊吹はまた歩き出した。
スラッとした長い手足が綺麗で。
制服じゃなかったら確実に男にナンパされているであろう後ろ姿が憎らしい。
不審者でさえ、狙っているかもしれない。
「…あんたのが襲われそうなんだから、気をつけて帰ってよ!」
最後に一言そう伝えると、さっと家に入った。
いつものあきれ顔で、お前はバカか?って返事が返ってきそうだからだ。
我が学園の生徒会長は、
外だけ王子。
中身は腹黒性悪大魔神。
だけど完全に悪なわけじゃない、
そういう王様だ。
さぁ、すでに絶対王政は始まっている。