KING CASTLE
「うし!終了、解散っ」
20代半ばの担任の、元気な声が響くと同時に動く。
現在名簿順なので、席は廊下側の一番隅っこ。
つまり、教室のドアに一番近い。
「じゃねっ!」
「バイバーイ」
仲良くなった詩織に小さく声をかけると、そそくさと出ていった。
今日こそ…!
意気込みながら足早に歩く。
と。
「どこに行くのかな、蒼井さん?」
後ろから伸びてきた手に肩を掴まれた。
また捕まった……
「…伊吹」
「もしかしてまた、生徒会があるのを忘れてた?」
恐る恐る振り返れば、悪魔の笑みを浮かべた伊吹がいて。
その細い腕とは正反対の強い力で掴まれている。