KING CASTLE

伊吹の言葉に、皆がうなずいた。

「交渉いくぞ」

そう一言漏らして、立ち上がる。

「水無月先輩、西園寺はコンピューター部。サッカー部には鈴先輩と梨宮で行け。空手部は氷野先輩と暁で、柔道部は俺と龍聖、蒼井だ」

会議欠席の2名を除いた生徒会役員全員が、瞬時に振り分けられた。

のは、いいとして。


なーんであたしが伊吹と一緒なのさ!

他の先輩につかせてもらったっていいじゃない!
別に椿君はいいけど、伊吹と一緒なのが気に食わない。

頬をふくらましているうちに、他の役員はそれぞれ部屋を出ていく。


「どした、妃芽ちゃん?」

「ったく、ノロマ。お前はいちいち行動が遅いんだよ」

対照的な二人と、あたしが残った。

ニコニコと笑う椿君は、伊吹の隣にたってあたしに手招きする。

つまり、来いと。


仕方なくいけば、伊吹が溜息をはいた。

「さっさと着いて来い」

そういってファイルを持って、会議室を出ていく。
その様子に今度はあたしが溜息をつきながら、椿君と後を追った。


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