KING CASTLE
「ちょ、椿君!」
「だーかーらー。龍聖でいいって!」
「もー龍聖!」
あたしがいいたいのはそこじゃないのよ!
思いっきり睨みつけるけど、依然笑ったままだった。
「妃芽ちゃん、俺らの生徒会長が弱いと思う?」
「え、」
伊吹が…弱い?
途端に、伊吹が頬をちょこっと殴られて気絶するシーンを思い浮かべた。
……うわ、ない。
「でっしょ?」
あたしの表情をみてわかったのか、にやにやと笑う。
「アイツね、小さいころからすっげー強かったんだぁ!」
柔道部員に囲まれながらも、未だニコニコと笑っている伊吹を見て、龍聖が言った。
「でも、相手大量だよ?」
「関係ねーって!」
あたしたちが話している最中に、先程のごつい主将っぽい人が、伊吹に向かって走る。
危なっ!
そう思って声をあげそうになったけれど、その前に伊吹は躱した。
そして、相手を掴んで。
背負い投げ。