KING CASTLE

「え、ちょ…!
「なんだ?蒼井。黙ってろ」

冷たい視線を一度だけこちらに向け、そう言い放つ。

明らかに“異常なし”じゃなかったでしょうが!

そう思っているあたしをよそに、玲羅は伊吹の言葉も記録していった。


「今日の生徒会は、これで終了とする。全員帰れ」

何事もなかったように淡々と伊吹が言えば、皆が立ち上がる。

もう、なんでもいいわ。
溜息をついてあたしも立ち上がった。

「蒼井、てめぇは残れ」

鞄を持ち上げると、伊吹のそんな声が聞こえる。

「は?」

「会長命令だ」

しれっとそう伝えて、自分は書類に目を移した。


残れ?
…残れ?

「なんでよ!!」

続々と帰って行くメンバーを目で追いながら、大きな声を出す。

すると伊吹は眉間に皺をよせて一言
「煩い」
とだけいった。


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