KING CASTLE
「じゃあね、妃芽ちゃん♪」
「龍聖ぃ…」
心底楽しそうにニコニコ笑いながら、最後だった龍聖が帰って行く。
あのやろぉ…
顔に出過ぎなんだよっ
そう睨みつけてから、キッと伊吹に振り返った。
「なんなのよ……っンン!?」
一言叫んでやろうと思ったのに、その口を塞がれる。
すでに3回味わった、伊吹の唇で。
「んや…ぁっ…ふぁ」
深く深く唇を重ねられ、息を吸う暇も与えない。
苦しくなって口を開けると、待っていたかのように舌をねじ込まれた。
「ん…っ!やめ…っ」
ートン
近くにあった壁に押し付けられ、あたしの口の中で伊吹の舌が暴れる。
抵抗しようと力を振り絞って胸板を押すけど、その両手すら“邪魔”とばかりに壁に縫い付けられた。
執拗なまでに舌を追われ、聞きたくないような声が漏れる。
やっと唇を離してくれたのは、五分後くらいだった。
「チービ」
息荒く、涙目になっているあたしに、たったそれだけ言い放つ。