KING CASTLE
「伊吹!コラっ」
「……うっせえな、今日はこっちに用事があんだよ。自惚れんなボケ」
顔を少しだけ後ろに向けていうから、それ以上何も言えなかった。
そうか、用事があるわけね。
納得してうなずいていると、いつもより伊吹との距離が近いのに気がついた。
あぁ!!
前は伊吹が2メートルくらい後ろを歩いていたのに!
今日のあたしたちの距離は、1メートル程だ。
これは危ない、と思って少し歩く速度を緩める。
すると、
ーガシッ
後ろに伸びてきた伊吹の手が、あたしの腕を無理矢理掴んだ。
「ちょ、なにすんのさっ」
「別に」
別にならどうして腕を掴むのよ!
そう悪態をつきながら思う。
これじゃあ2メートル開けれない。
「離せ馬鹿」
「無理」
伊吹が腕を離さないから、仕方なく縦に並ぶ。
いつもより距離が近いけど、隣は歩いていないんだ。
大魔王教の方々、これで勘弁してくださいませ。