KING CASTLE
*
文化祭の企画が始まり出した。
「んでっ!我がクラスは、幕末喫茶だからっ!」
「「「意義なし〜っ」」」
たった今、委員長の大きな声と共に。
ウチのクラスの出し物は決定したわけだけど。
「幕末かよ…」
小さな声で不平を言った、隣の席男子。
自分をダシにするのは目に見えてる、とでもいうように、にっこり笑顔で舌打ちをした。
どす黒いオーラを放っていることに気付いているのは、きっとあたしだけだろう。
「なに、あんた嫌いなわけ?」
「別に?僕は大好きだよ」
パッと笑顔の周りに花をまき散らす、伊吹は言った。
最初の名簿順の席以降、悪魔のくじを引いたあたしは、伊吹の隣の席になってしまったわけだ。
しかも真ん中の列のど真ん中。
教卓に近いわけじゃないけれど、
地獄耳の委員長には声が当たり前のように届いていて。
「伊吹くん!君のその一言が聞けて嬉しいわっ」
目を輝かせて不敵に笑う。