KING CASTLE

黙々と、多少はブツブツ呟きながらも、
ちゃんと掃除をしていた。

あとから伊吹が小言を言わないように、
綺麗に掃除していた。


のに。

「お前は掃除一つもまともにできないのか?ノロマ」

気付けば真っ暗になった外と、
教室のドアに寄りかかった伊吹がいる。

今、やっと3年1組が終わったところで。
あと6クラス。

終われるわけがない、と思ったところの登場だった。


「煩いっ。あたしだけ変な仕事押し付けたくせに!」

「だから面倒を見にきてやってんだろ?仕方なく」

はーぁ!?

「ドアに寄りかかってみてることの、どこが面倒見にきてるのよ!」

ちょうどいい、と思って。
今まで掃除ばっかりで溜まりにたまったストレスとぶちまけたのだけれど。


「面倒を“見にきてる”っつってんだろーが。手伝いにきてるわけじゃない」

そんな屁理屈で受け流された。


それなら見に来ない方がよっぽど嬉しいわっ。


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