KING CASTLE
伊吹はニコニコ笑って、扉の方に向かう。
その笑顔は明らかに、オモテの笑顔。
優しげな風貌が印象的な、つくり笑顔だ。
それを今まであたしに向けたことはない。
なのにいきなりニコニコ笑ってくるし。
わけわかんないじゃん!
そう思っているのも束の間。
すぐに疑問は解けた。
「あれ?君、どうしたのかな?」
たった今気付いたと言わんばかりの言い草に、呆れて溜息がでる。
扉の外にはずっと居たらしい男子生徒がいて。
伊吹の表情は明らかに、居ることをずっと知っていたって感じ。
だからあたしに、表でしゃべったわけね…。
コイツには少しの油断もない。
「あ、あの…!すみませんっか、会長っ」
いきなりミリオンスマイルを向けられた男子生徒は、体をカチカチにして顔を赤らめる。
って、ちょっと待ってよ!あんた男だろうがっ。
なに伊吹に顔赤くしてんの!?