KING CASTLE
「どうしました?」
あ、れ…?
これ、表の声だけど…
「…ヒックッ…いぶ、き?」
嗚咽まじりに言った声に、伊吹は反応した。
「…は?蒼井?」
あぁ、いつもの声だ。
暗闇でもどこでも響く、低い声だ。
ードカァン!!
「やっ!」
また窓を揺らした雷の音に、体が大きく反応する。
こんなとこみられて、伊吹をどう誤摩化そう。
笑われるのがわかりきってて、本当のことはいえない。
「おま…泣いてるのか?」
小走りで駆け寄ってきて、驚いた声をだす。
カチャ、と鍵を置く音がした。
ーゴロゴロッ
「嫌…っ…怖い」
伊吹になんか、頼っちゃいけないのに。
体が言うことを聞かない。
伊吹の袖を掴んで、力を入れる。