KING CASTLE
「ん…」
「おい、蒼井」
抱きしめられながらもぞもぞと動いたのが気になったのか、伊吹が声をかける。
それが遠くの方で聞こえた。
「チッ」
小さな舌打ちを鳴らしながらも、さっきまでの手の動きは変わっていない。
ゆったりとした一定のリズムで、頭を撫でる。
なんだ、意外に優しいんじゃん。
ほとんど意識が遠のきながら、そんなことを思った。
「明日からは会議、出ろよ」
伊吹の固い胸板の上で、小さくうなずく。
それを感じたのか、伊吹は小さく声を漏らして笑ったらしい。
王様は格好良くて、表裏が激しい。
その上衝突が多くて、
愛猫がいないとたちまち不機嫌。
結局はこの我が儘な子猫を、
大切にしているということ。