KING CASTLE

……あれ。

なんとなく、優の不機嫌度が足りない気がした。


あれ？

「どうしたの？龍聖」

「え、あ、楓か。なんか優さ…
「おい、いつまでそこにいるつもりだ？」

優の声に気がついて、話を切りながら顔を上げれば。
優はドアの隙間から頭をだして話していた。


「さっさと入れ、のろま」

「っるさい！」

聞き慣れた可愛い声に、納得する。

再び優の横顔を見たとき、少しだけ微笑んでるのがわかった。


「妃芽！！」

玲羅ちゃんがびっくりしたような大声を出して、大きな扉がそろそろっと開いた。

優の影から、妃芽ちゃんがひょこっと顔をのぞかせる。

「…今までさぼって、すいませんでした」

涙目のまま頭を下げて、優は隣で満足げに笑みを零していた。