忘却は、幸せの近道
「卓、なにしたわけ?」


春奈さんが、怒りながら卓に近づいてきた。


「わりぃ。」


卓は、私を抱きしめたまま軽く言う。


「春奈さん、ごめんなさい。」


私は、卓から離れながら謝った。


「梨依ちゃん?
なんで、ここに?」



あぁー。


私って本当にバカ。


こんなにも私を守りたいって思ってくれる人を裏切ろうとするだなんて。


怒られなくてもいい卓が怒られそうになるんだ。


「卓は、私を助けに来てくれたんです。」


春奈さんは、言わずにわかったみたいだ。


「卓、あんたが周りに迷惑かけた分、守れたわけね?」


春奈さんは、卓に確かめるように聞いた。


「あぁー。
間に合った。」



卓は、すっごい笑顔で春奈さんに答えた。


「なら、いいわ。
私がちゃんと説明する。
梨依ちゃん、もしかして思い出した?」


春奈さんは、不安げに聞いてきた。


やっぱりわかるよね。


私がこんな衝動的な行動を起こしたんだから。
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