忘却は、幸せの近道
「あなたたちが、そうやって悲しむから、梨依は、迷惑かけないように何も言えなくなるんだ。」


「卓、大丈夫だよ。」


私は、卓の腕をつかんで引っ張った。



「大丈夫じゃない。
梨依は、自分のせいだって自分を責めるけど。
あなたたちは、逃げようってばかり。
なかった事になんかできないのに。
当たり障りのないことしか言わない。」


あぁー、本当に卓を好きになってよかった。


私の言えなかった事をすべて話してくれる。


「わかってるさ。
けどな。
どうしたらいいかわからないだろ?」


必死に弁解するいっくん。


「どうしたらいいかわからないのは、梨依ちゃんですよ。
不安だった梨依ちゃんを何も言わなくても抱きしめてあげるぐらいできますよね?」


春奈さん。


奇跡かも。


こんな素敵な人と出会えたのは。


救われる。


「そうですよね。
梨依ちゃんが何も言わなくても抱きしめるべきでした。
ただ、私は、怖かった。
梨依ちゃんのされたことを考えたら....」


沙奈ちゃんの気持ちは、わかる。


同じ女性だからってのがあるって。
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