忘却は、幸せの近道
「それは、惣一くんと遊んでたの。
遊んでたというかお話してた。」


「しかも、絶対に春だけなんだよな。」


惣一くんは、苦笑いしながら言った。


「そういえば、そうだったね。
なぜか違和感なかったけど。」


私と惣一くんは、懐かしげに目が合うと笑い合った。

「俺が、小学校卒業まで続いたんだ。
同じ高校にいるのは、知ってたけど、今更、話しかけることはしなかった。」


「えっ?
どうして?」


意味がわかんない。


私は、知らなかったし。


「卓が、りっちゃんに熱い視線を送ってたからさ。」


惣一くんは、卓をからかうように言った。


「てかさ。
いつの間に、実依と惣一くんつきあってたわけ?
卓も実依に彼氏いるの知ってたなら、なんで教えてくれなかったの?」


それが、疑問。


私と惣一くんのつながりを知らないのは仕方ないけど。


実依に彼氏がいるなら教えて欲しいのに。


「つい最近まで、わからなかったの。」


実依は、泣きそうだった。


「俺が悪いんだよ。」


惣一くんは、苦笑い。


「もしかして、曖昧にしてたわけ?」


私は、疑いの眼差しで惣一くんを見た。
< 123 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop