忘却は、幸せの近道
「そうだ。
ここの従業員、あの時から変わってないんだぜ。
だから、おまえ等が来た瞬間、俺んとこにすぐにこいつが来たんだよ。」


そう言って、手招きで女の子を呼んだ。


そういえば、この女の子がいる時の接客は、彼女が全部してくれてたっけ。


今日もそうだ。


「いつの間にか、あなたたちの担当は、私って自然に決まっちゃって。
それに、私がいない日に来ることはなかったですし。」


いつも注文のやりとりしかしたことなかったけど。


急に距離が縮まった感じ。


「そうですよね。
ちょっとだけ不思議だったけど。
来る度に、あなたを探してる私もいましたよ。
私と彼もあなたが私たちの担当みたいに勝手に決めてたところもあるから。」


「嬉しい。
マスター、彼女たちにサービスしてくださいよ。」


なんかすっごい嬉しそうにキャピキャピはしゃぐ彼女は、かわいかった。


「わかったよ。
品田さんがそうなるのは、珍しいからな。」


マスターは、超呆れ顔。


「お名前、品田って言うんですか?」
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