忘却は、幸せの近道
「品田兄妹の知り合いなら、マジにサービスしなきゃだな。」


マスターは、スキップしちゃいそうなぐらい嬉しそうに厨房に戻った。


「兄さん、それよりどうしたの?」



「実依がパスタ食いたいって言ったから。
で、実依何にする?」


「私は.....
カルボナーラ。」


実依は、嬉しそうに答えた。


「やっぱり姉妹。」



卓は、実依がカルボナーラを頼んだのが余程おもしろいみたい。


笑い方が、いつもより大げさ。


「卓先輩?」


実依が、不思議そうに卓を見た。


「梨依は、いっつもここでカルボナーラしか頼まないんだよ。」


「だって、カルボナーラがパスタの中で一番おいしいじゃない。
ねぇ、実依。」


私は、実依に問いかけた。

「うん。
パスタと言ったら、カルボナーラだよ。」


「そうだ。
俺は、オススメな。」


「卓と惣一くんだって、似た者同士じゃない。」


今度は、私が笑っちゃった。


「惣一、マネすんなよ。」

「はっ?
そういうことか。」


勘のいい惣一くんは、すぐにわかったみたい。
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