忘却は、幸せの近道
「千里は、うまくやってる?」


心配そうに聞く実依。


てか、せんちゃんも家を出たかったんだね。


せんちゃんは、完璧タイミングを逃しただけよね。


「まあ、俺は、それなりかな?
ただ....
壱兄は、仕事にのめり込んで家に帰らなくなった。
十和兄は、世界中を飛び回るようになった。
ネット上で事を済ませてたのに。
百兄は、壱兄のサポートしてるよ。
そしたら、沙奈さんは、一人でよく泣くようになった。」


せんちゃんは、悲しげだった。


私も悲しい。


けど、助けることはできない。


今、やっと充実した生活を手に入れたから。


「やっぱり、バラバラになったんだ。」


実依は、冷静に納得していた。


なんで?


私は、首を傾げた。


「私たちはね。
梨依ちゃんがいたから、繋がってたんだよ。
梨依ちゃんがいなきゃ、もっと早くにバラバラだった。」


私がいたから?


まさか.....


「私があんなことあったから?」


そうしか思えなかった。


「「違うよ。」」


2人の否定の声が、ハモった。
< 150 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop