忘却は、幸せの近道
私を見つけたいっくんは、悲痛な顔で私を見た。


私は、気絶したフリをした。


そのまま寝ちゃったんだけどね。


あまりにも苦しくて現実逃避したら、寝ちゃった。


けど、聞こえたんだ。


『どうして、梨依なんだ?』


『これから、どうすれば....』


みんなの悲痛の声。


それでもまだ、すべてを話す気でいた。


痛みを共有してもらいたかったから。


私が楽になりたかったから。


けど、みんなのあんな顔見たら。


そんな気になれなかった。


私の心と体にどんな傷をおったかを知られちゃダメなんだと。


みんなが、壊れちゃう。


私は、自分よりみんなを優先にした。


その時の私にとって、一番辛く悲しい選択だけど、仕方のないことだった。
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