忘却は、幸せの近道
「はい。
去年から。」


「きょ、去年?
うっそだー。」


梨依の妹、ウケる。


反応が梨依とは、真逆だ。


「梨依は、俺は、家族の二の次だったから。」


それが、悔しいって思うときもあった。


けど、仕方ないってのもわかってる。


だから、一年も続いてる。


俺は、その前から梨依の事は知ってたんだけどな。


「そうなんですか?」


妹が聞き返した。


「妹と弟に心配をかけられないから、一緒に登下校はできないってね。
俺が、気にせずに梨依に会えたのは、病院に行く日だけ。」


「卓。」


姉さんは、遮るように俺を怒鳴った。


「姉さん?」


「卓、通院の事は、秘密だったのに....」


姉さんは、呆れたみたいだ。


けど、もうよくないか?


「どうせ、説明しなきゃいけないからいいだろ?」
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