カラフル
「…何か、すげぇ可哀相だな」
「…自分の頭が?」
「違ェし。…お前が。」
いつもより真剣な眼差しで言葉を吐く相手に少し動揺してしまう。
『可哀相』だと言われたことは別にムカつかなかった。馬鹿にされたともとれる言動。だけど、その言葉の意味は自分自身が1番理解している。
「全てに見返りを求めたらキリねぇだろ。…無意味なんかじゃない。経験が将来の糧になるんだから」
「…楽器の音の出し方なんか将来使う場所が限られてるけど?」
「そういう、直接的な意味じゃねぇんだよ。とにかく青春しろ若者」
「…サムいな」