俺様な死神研修生!



「うはぁー。喰った喰った。」


「帰るぞ」なんて言って颯爽と風を切って歩く恭汰。

今日はずっと恭汰に巻き込まれてた気がする。

いい迷惑、だけどどうしてだろうかな。

ちょっと面白かった。


「何してんだよ。置いてくぞ。」

「恭汰が歩くの速いんだよ!」

「あぁ、そうか。俺様の方が足が長かったな。」


「クックック」と笑う恭汰。

一度死んでこい!


「別に!気にしてないし!」

「ふーん。」

「何?その目。」

「別に?帰るぞ。」


不意に手を掴まれて驚いた。

そのまま恭汰はなんでもないように歩き出す。

歩く恭汰と早足の私。


なんでもないように振る舞う恭汰を見ると変だ。

自分が変だ。


ただ、この手を離したくないと思ってしまうから。



恭汰の顔を見上げて見ようとすればできるのに。

なぜだか上を向けない。



コイツは死神なのに。







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