120円の恋心
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売店の前は、広間になっている。
金を持って売店へ向かった荻窪は、そこで捕まっている3人組を見つけた。
元々声の大きいテニス部の顧問が、彼らを怒鳴りつけている。
「おまえらっ! 女風呂を覗こうとしてたらしいなっ! ふざけるなっ、バカ者がっ!」
「いや、違うんすよ。たまたま落しモノをしちゃって取りにイッただけなんすよ」
デジタルカメラを構えながらなにを言い訳しても無駄だろう、と思いながら荻窪は彼らの横をすり抜け、売店に入ろうとした。
すると、
「あ、荻窪!」
ジャージ3人組のリーダー格に呼び止められてしまった。
「オイ、なに自分だけ逃げてんだよ。おまえも一緒にノゾこうとしてただろ!」
とんでもない言いがかりだ。荻窪は立ち止まり、たじろいだ。
「おまえらっ、やっぱり覗いてたんじゃないかっ! 荻窪っ、そうなのかっ!?」
返答に迷った。当然、覗きなどしていない。
だが、ここで反論してしまったら、友情にひびが入ってしまう可能性もある。
「……………………うん」
ここで認めても、ただ怒られるだけだ。それだけで、平和は保たれる。
適当に合わせておけば、乗り越えられるのだ。