極彩色ラズベリー
ねぇ、君に逢いたい。
君が居ないと、僕の全てはもう二度と。…色付かないらしい。
「武田君は、カリンが好きだったよね?」
不意に、店長がラズベリーの鉢の横にカリンの鉢を並べて。パチリ、とカリンの一枝を剪定すると、それを僕に差し出した。
「…別に好きな訳じゃ、」
「そ?でも武田君にあげる。」
カリンを見ると、藍さんを想い出して苦しかったから。僕はその差し出されたカリンを、受け取れずにいた。
「…唯一の恋、なんだろう?」
だから君はコレを受け取るべきだ、と。店長は、カリンの一枝と共に一枚のメモ用紙を渡してくれた。