極彩色ラズベリー
世界は鮮やかに染まり続ける。それは僕の視界だけじゃなく、心までも染み渡る。
「凌さんは、お花が大好きなんですね。」
パチリ、とカリンの剪定をしていた僕の手は止まり。丸く見開いた瞳は、藍さんの笑顔を捉えた。
瞬間、頬に熱が集まるのが分かって。
…あァ、もう。どうしようもない。
「すごく幸せそうな顔でそのお花、手入れされてるから。」
僕はもう、この顔を藍さんに見せる事が出来なくて。藍さんに背を向けると、僕はまた手にした剪定鋏を動かした。
「…違うよ。」
「え?」
「…何でもない。」
花なんかじゃない。君が居るからだよ。