極彩色ラズベリー
Red
鮮やかだった赤い色は、今ではもう濁った汚れた色にしか見えなくて。僕のキモチを酷く不快にしてくれた。
「タケ、体調でも悪いのー?」
「…いえ、別に。」
久し振りに顔を出したBarで、クロさんは僕の顔を見るなりそんな事を言った。
僕の体調は至って普通。
ただ藍さんが居ないと僕の瞳はまた、モノクロの世界しか映らなくて。一度鮮やかな世界の色を知った僕は、それがどうしようもなく不安なキモチにさせられた。
「…クロさん、綺麗な色が見たいです。」
僕が大好きな赤い色。
僕が咲かせる赤い色は、今まで見てきた中で一番綺麗な色だ。あの色を瞳に映している時、僕は酷く安心する事が出来るから。
…だから、今から。赤い花を咲かせに行きましょう。