ささやかな奇跡
「ところで、お前が拾ってきた赤子はどうなった?」

「覚えていてくださったのですか!」

高耶は身を乗り出した。

慈尊の言葉に嬉しそうに破顔した男は、拾ってきた「わが子」について、いつになく熱心に語り始めた。

予想していたのとは、全く別の反応だった。

高耶に子は育てられない。

赤子はとっくに死んでしまったと思っていたのだが、事実はその逆だったのだ。

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