ささやかな奇跡
「蓮はまだ子供だね」
軽い調子で告げると、蓮の表情が悲しげに曇った。
それでも手を差し伸べると、ためらうことなく身を寄せてくる。
思いのままに、抱きしめることはもうできない。
ほのかに花の香りがする、愛しい少女の身体にまわした腕に、力をこめることができぬまま、高耶は無言で月を仰いだ。
軽い調子で告げると、蓮の表情が悲しげに曇った。
それでも手を差し伸べると、ためらうことなく身を寄せてくる。
思いのままに、抱きしめることはもうできない。
ほのかに花の香りがする、愛しい少女の身体にまわした腕に、力をこめることができぬまま、高耶は無言で月を仰いだ。