あなたのスッピンも大好きです。
あなたのスッピンも大好きです。
僕だけが知っている、
化粧下のあなたの顔。
僕が初めて恋をした人。
車内に響き渡るエンジン音。
揺れるつり革。
僕はいつも車内が見渡せる
一番奥の席に座る。
自分が座りたい席に座れるのは一番乗りの特権で、
その特権を使える僕にとってこの席は”僕の席”と言っても過言ではない。
僕はすぐ隣にカバンを置いて重たいガラス窓に手をかける。
少しよどんだ車内の空気にヒューっと入り込む新鮮な空気。
初夏といえど、朝の六時の空気は気持ちがいい。
僕は窓に顔を近づけると、すぐ横を流れる川に目をやった。
たぶん、この川のおかげもあるんだろうな。
なんて、澄んだ空気の分析をしているうちに
バスは次の停留所に停まろうとしていた。
僕はかけている眼鏡の鼻の辺りを人差し指で押さえて姿勢を正した。
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