あなたのスッピンも大好きです。
サッカーの話やら、女子の話やらを隣でずっと話している和哉。
それらを僕は適当な相槌を打って聞き流していたのだけれど、
「最近さ、ちょーキレイな女見つけたんだよ」
「へぇー」
「どこでだと思う?」
「さぁ?」
「このバスの中でだよ」
「へぇー…」
――って、え!?
僕は流れていってしまいそうだった和哉の言葉を引き戻す。
キレイな女!?
このバスの中!?
僕は勢いよく和哉に振り返った。
嫌な予感がする。
それってまさか……
まさか――
「何で今まで気付かなかったんだろうな、あんな美女に」
そう言って見つめる和哉の視線の先。
それはまさしく
バッチリメイクの彼女だった――。
あ、
ありえない。
まさか和哉に目をつけられてしまうなんて。
さっきも言った通り、和哉はモテる。
物凄く。
だからもし、和哉が本気で口説いたら…
彼女が大学生といえど
落ちてしまう可能性がないわけではない!!
それに彼女が年下好きだったら…
イケメン好きだったら…
だぁーーー!!
僕は始めて危機感というものに襲われた。