あなたのスッピンも大好きです。
し、信じた……?
目の前の落胆した和哉の姿に僕が驚いてしまう。
必死に言葉を並べたから僕自身もう何を言ったのか覚えてないのだけれど、
和哉の女好きに感謝する。
いや、単純さに?
ナルシストさに?
何にしろ、危機は逃れた。
すごくホットしている。
でも――
僕は胸に手のひらを押し当てた。
危機は逃れたというのに、胸の奥の方でまだドキドキが続いている。
僕が感じたことのない場所で、しかも物凄く速く。
これは、何――?
それに彼女を奪われてしまうというあの危機感。
独占欲?
いやもしかして……
これが恋心というものなのかもしれない。
「コイゴコロ……」
そう呟いて、僕の脳も心臓もその言葉をゆっくりと吸収していく。
――恋心。
それは思ったよりもすんなり体に溶け込んで、
僕は彼女が好きなんだと、
簡単に自覚することができた。
僕は彼女が好きなんだ。
きっと初めて会ったあの日から、彼女のことを好きになっていたんだ。
あの心のざわつき。
今なら納得がいく。
初恋が年上の、しかもあんな美人(スッピンはのっぺらぼうだけれど…)だなんて驚きだけれど、
それよりも今は、別の感情が僕の中を渦巻いていた。
それは、彼女を守りたいという気持ち。